
東京都立大学大学院都市科学研究科は、都市・都市問題・都市政策に関する学際的研究教育のために1994年4月に開設された独立研究科大学院である。同研究科は、高度な都市専門家の養成・再教育および幅広い視野を持った専門教育者の養成を目指しており学部卒の学生はもちろん自治体の職員等社会人に広く門戸を開放している。そのため社会人が学べるように昼夜開講制を導入しており、社会人は在職のままでも夜間に大学院で研究し学位を取得することが可能である。
同じく1994年4月に開設された早稲田大学大学院社会科学研究科は、地球社会論専攻と政策科学専攻の2専攻から構成されている。同研究科は、基本理念である「社会科学の総合的学際的研究・教育」が、閉鎖的であってはならず、その研究・教育の成果は、とりわけ社会人としての総合的実践を経て、それをさらに高いレベルで理論化していくという理論と実践の交渉過程を通じて累増することが期待されるという認識に立脚し、夜間大学院として社会人にも開かれたものとなっている。
今後も前述のこの種の大学院は、増大することが予想され、現職の自治体職員が、仕事を続けながら大学院で研究を重ねる可能性はますます高まってくるといえよう。このような傾向を自治体も重視しそれを良い意味で活用する方法を構築する必要があろう。たとえば、夜間大学院へ通学する職員に対する奨学金制度等を創設してこれを積極的に援助していくことも考えられよう。また、受け入れる側の大学院も社会人特別選抜の在り方のみならずカリキュラムや履修方法などを工夫する必要が生じている。東京大学大学院法学政治学研究科では、専修コースを設置していち早くこれに対応している。大学はいわゆる「冬の時代」の対応策としていたずらに社会人特別入試制度を導入するのではなく、その前提として新たなタイプの学生に対するカリキュラムや環境整備に十分配慮すべきであろう。
3. アメリカ合衆国に見られる先進事例
これらの高等教育機関のカリキュラムについては、行政学・政策科学教育の「先進国」であるアメリカ合衆国の事例が参考に資するであろう。現在アメリカ合衆国において行政学または政策科学関連の学部を設置している代表的な大学には別表のようなものが存在している。
これらはNASPAAによって示されるモデルカリキュラムを参考にして独自のカリキュラムを作成している。このNASPAAは全国公共問題・行政学教育機関協会(Nation−
前ページ 目次へ 次ページ
|

|